辺野古移設:沖縄知事、沿岸部埋め立て承認を取り消し
毎日新聞 2015年10月13日 09時30分(最終更新 10月13日 16時08分)
◇国、不服審査請求へ
沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は13日、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への県内移設に向けた前知事による埋め立て承認を正式に取り消した。同日に承認取り消しの文書を沖縄防衛局に送付した。埋め立ての法的根拠となる承認が取り消されたことで、政府は近く行政不服審査法に基づく不服審査請求を行うなど対抗措置を取る。承認が取り消されても政府は埋め立てを強行する構えを崩しておらず、移設問題を巡る国と県との攻防は法廷闘争に突入することが決定的となった。
県庁で記者会見した翁長知事は「承認には瑕疵(かし)が認められ、取り消しが相当だと判断した。今後も辺野古に新基地は造らせないという公約実現に向けて全力で取り組む」と説明。そのうえで「これから裁判を意識したことが始まっていくが、場面場面で沖縄県の考えを述べ、多くの国民や県民に理解してもらう努力をしていく」と強調した。
取り消しの理由について文書では「普天間飛行場の代替施設を辺野古に建設せねばならない理由について実質的な根拠が乏しく、埋め立ての必要性を認めることができない」などとしている。
翁長知事は仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事による埋め立ての承認を取り消すことを9月14日に表明し、沖縄防衛局に9月28日に任意で意見を聴くことを通知した。だが、防衛局は「意見聴取でなく、行政手続法が定める『聴聞』を行うべき」と拒否した。このため、県は「聴聞」を10月7日に実施すると再通知したが、防衛局は「承認に何ら瑕疵はなく、取り消しは違法」と陳述書で回答し、聴聞には出席しなかった。
承認が取り消されたものの、政府は行政不服審査法に基づいて公有水面埋立法を所管する国土交通相に不服審査請求し、取り消しの一時停止も求めるため、政府の移設作業が大幅に中断する可能性は低い。地方自治法に基づいて県に「是正」を求める考えもある。その後は、県が移設作業の差し止めを求めて提訴するなどいくつかのケースが想定され、対立の長期化は避けられない見通しだ。
政府と県は8月10日から移設作業を1カ月中断して集中協議を実施。政府は「辺野古移設が唯一の選択肢」と理解を求めたが、翁長知事は反発して決裂。政府は協議期間終了の3日後の9月12日に辺野古沿岸部での移設作業を再開。9月18日には辺野古沿岸部で実施している埋め立てに必要なボーリング調査の期間を来年3月まで延長することも決め、移設に向けた環境を着々と整えている。
一方、翁長知事は9月21日にスイス・ジュネーブでの国連人権理事会で日本の都道府県知事として初めて演説。県民の多くが反対する辺野古移設が日米両政府によって進められている現状について「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている状況を世界から関心をもって見てほしい」と訴えるなど移設阻止に向けて国内外の世論喚起に動いている。【佐藤敬一】
◇ことば 辺野古の埋め立て承認
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設に向け、政府が2013年3月、公有水面埋立法に基づいて名護市辺野古沿岸部の160ヘクタールの埋め立てを沖縄県に申請。審査の後、13年12月に当時の仲井真弘多知事が承認し、政府は14年8月に埋め立て海域のボーリング調査に着手した。しかし同年11月の知事選で移設阻止を訴えた翁長雄志氏が仲井真氏らを破って初当選。翁長氏は知事就任後の今年1月に前知事の承認判断を検証する専門家の第三者委員会を設置し、第三者委は7月に「政府の埋め立て申請は埋立法の要件を満たしておらず、県の承認手続きには瑕疵(かし)が認められる」との検証結果を出した。
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