まとめ;国際人道法の4つのポイント
① 武力紛争の際にも適用される国際法 |
② 戦いという状況下でも,人間として守るべき最低限のルール |
③ 1949年のジュネーブ四条約と1977年の2つの追加議定書が中心 |
④ 保護されるのは,戦闘に参加していない全ての人 |
<国際人道法>○ 武力紛争時に適用(戦争時)
・紛争が行われている期間という,1時期にのみ適用されるもの
◇1864年~
◇ジュネーブ条約,ハーグ条約ほか
◇赤十字(ICRC)のイニシアティブ
◇より緊急度の高い法
◇「戦争法」「武力紛争法」とも呼ばれる
<人権法>○ 全ての状況下で適用(主に平和時)
・人が生まれてから亡くなるまで常に適用が可能なもの。
年齢の条件によって適用を受ける内容は変わります。
◇1948~
◇世界人権宣言ほか
◇国連のイニシアティブ
国際人道法の基本ルール
赤十字国際委員会の元副会長であり,ジュネーブ諸条約や赤十字の基本原則の草案作成にも携わった
ジャン・S・ピクテ氏は次のように言っています。
「人道主義は,あらゆる主義主張を持つ人々が出会い,互いに友情の手をさしのべることのできる,
まれに見る分野の一つであり,この根本理念は,全ての偉大な宗教の中にほとんど同じ形で
見いだされるものである。またそれは,既存の宗教の教えではなく,自分自身の理性のみに依り頼む
実証主義者にとっても認めうる理念である」
その心は「自分がしてもらいたいことを隣人にもしてあげること」と言っています。
以下の7つのルールはICRC(赤十字国際委員会)が,何百条にもわたる条文をわかりやすくまとめたものです。
戦闘行為においてかかれていますが,普段の社会に当てはめても十分通用すると思いますが,いかがですか?
1 戦闘や敵対行為に加わらない人の命と尊厳を大切にし,いかなる場合でも差別せず,人道的に取り扱うこと。
2 降伏したり,戦えなくなった的の軍人を殺したり,傷つけてはいけないこと。
3 戦いに参加しているものは,互いに傷病兵を収容し,看護,治療しなければならない。
また,そのための衛生要因や施設,車両,船舶,航空機,機材を保護する赤十字と赤新月の標章を保護し,尊重すること。
4 捕虜や抑留者の命と尊厳,そして個人的権利と信念を尊重し,いかなる暴力や報復からも保護しなければならない。
また,彼らは家族と通信し,救済を受ける権利をもっていること。
5 いかなる人も公正な裁判を保障され,自分がやっていないことの責任を負わされることはない。また,拷問や体罰,残虐で品位を汚す扱いを受けることはないこと。
6 戦いに参加している者は,戦闘方法や戦闘手段を無差別に使うことは許されず,不必要で過度な損害や殺傷を
引き起こすような兵器を使ってはいけないこと
7 戦いに参加している者は,常に民間人と戦闘員を区別し,一般の人々とその財産を保障し,攻撃してはいけないこと。
また,攻撃は軍事目標だけに限定されること。
違反した者の処罰
国際人道法は他の国際法と違って,直接個人の罪を問うことができます。
オランダのハーグにある国際司法裁判所では国家のみが裁判の当事者です。個人は裁判の対象とはなりません。
内戦が多発する現在,常設の国際刑事裁判所の設置が求められています。
<関連事項>ICJとICC