札幌市中心部の商業ビル「ススキノラフィラ」(中央区南4西4)について、イトーヨーカ堂(東京)や竹中工務店(大阪)など地権者企業6社が、2020年5月末以降、老朽化したビルの建て替えを軸に再開発する方針であることがわかった。来年末までに開発時期や概要などの具体的方針を決める。
JR札幌駅や大通公園周辺に比べ、動きの少なかった札幌・ススキノ地区の再開発計画は今後注目を集めそうだ。地権者6社の間では商業ビルとしての再整備や大型ホテルの誘致のほか、観光バス発着場など公共スペースを設ける案も浮上している。既存ビルをいったん閉鎖して全面改装する案もあるという。
同ビルは地上8階、地下3階で、延べ約5万5千平方メートル。1974年に百貨店・札幌松坂屋として開業し、ヨークマツザカヤを経て、2009年1月のロビンソン百貨店札幌店撤退後は地権者のうちススキノ十字街ビル(札幌)が衣服や雑貨、飲食店などが入る専門店ビルとして運営している。
ただ、現在の耐震基準を満たしておらず、16年には電気設備から火災が発生するなど老朽化が進んでいた。百貨店仕様で作られ、フロアが広すぎて専門店が使いにくいという課題もあり、地権者間では再開発が必要との認識で一致しているという。
ビルのある地域はかつて小規模な店舗などが密集し、08年時点でも二十数人の地権者がいたが、今年10月に個人地権者からの持ち分取得が終了し、6社に集約されていた。入居テナントの多くとの賃貸借契約期間が満了する20年5月末以降に再開発に着手する。
(宇野沢晋一郎)