国が2020年4月、胆振管内白老町に整備するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」。開設PRアンバサダーを務める、アイドルグループAKB48のメンバーで旭川市出身の坂口渚沙(なぎさ)さん(18)が北海道新聞のインタビューに答え、「より多くの人にアイヌ文化を知ってもらうお手伝いができれば」と意気込みを語った。
坂口さんは14年デビュー。18年6月には、ファン投票による第10回AKB48世界選抜総選挙で2万4298票を獲得し、立候補者339人中47位となり、テレビなどへの露出が多くなる48位以内に初めて入った。
昨年10月にアンバサダーに就任してからは、アイヌ民族の伝統楽器ムックリ(口琴)を猛練習している。PRイベントで、アイヌ民族の伝承者と一緒に演奏を披露したことも。「『人によって音色が違う』と教えてもらいました。繊細できれいな楽器だなと思う」と声を弾ませる。
道内出身とあって、幼いころからアイヌ文化は身近だった。小学4年生の学芸会の創作劇では、アイヌ民族の女の子を演じたこともある。今はアイヌ民族の少女が活躍する人気漫画「ゴールデンカムイ」のテレビアニメを見るのが仕事終わりの楽しみといい、「自然に対する敬意など学ぶべきところがたくさんある」。
アイヌ民族は開拓以降、アイヌ語を禁止されるなど和人の生活習慣を強いられた。今も差別や偏見から生活に困窮する人やアイヌ民族だと明かせずにいる人もおり、坂口さんは「北海道出身者として、文化だけでなく歴史や現状もきちんと学ばなければいけないと思っています」と話す。
現在は、アンバサダーとして福岡や沖縄など各地のイベントに出演し、精力的にウポポイの存在やアイヌ文化を紹介。坂口さんの影響でムックリを練習し始めるファンも出てくるなど新たな層への関心の広がりも感じている。「アイヌ文化をもっと身近に感じてもらいたい」と願っている。(斉藤千絵)